地震じゃない話しますね。私には英気を養う機会となりました。皆様にも効用あるでしょうか。
昨日は、夫が属する紳士クラブ、「Le Jockey Club」に行ってきました。このクラブは、マルセル・プルーストが「失われたときを求めて」の中でも触れているほど、古くって格式があるところ。世界に支部があります(日本にはなさそう)。
その昔、結婚式をロンドンでする際、パーティー会場に、Jockeyのロンドン支部を使ってはどうか、メンバー割引あるかも、と思って夫と訪れましたが、な、なんと、女性は(新婦を含む)はお勝手口からしか入れない、階段も男性メンバーと別でなくては駄目、という、恐ろしく時代錯誤な決まりがあると言われ、「結構です!」とドアをパンと閉めたことがあります。
そんなパリのJockeyはシャンゼリゼの足元、Franklin Roosevelt駅の近くにあります。
昨夜は、元、在中国フランス大使(どうやって表現するんでしたっけ?以前、中国にてフランス大使をしていた方)が「中国と米国、そして欧州の関係」について講演されるを聴きにいったのです。こんな機会でもないと、女性は中々足を踏み入れること、できませんからね。(パリのJockeyは女性も正門から入れます。)
まず、 入り口。イスラエル大使館の前にあるので、バリケード、警官が一杯です。重い重いドアを開けると、深紅のカーペットが敷き詰められ、バトラー(執事)さんが、「ボンソワー、ムッシューxx」と皆を名前で出迎えます。バトラーさんたちは、1000人以上いるメンバーの顔と名前を全部覚えなくてはならないそうです。
メンドクサイ挨拶を避けたい夫は、「急げ急げ」と会場であるサロンに逃げ込みます。サロンは、重厚な内装です。カーテンは何キロあるんだろう、シャンデリアも本格的。クラブは19世紀からあるようだけど、この建物も?地震がない国はいいわね~、と思い出したところで、「いかん、いかん、今地震を思い出してはいけない」と自分の連想を止めます。
聴講する人達、60~80人くらいでしょうか。これがちょっと笑えます。って失礼なんですが。
男性が大多数。皆、ジスカール・デスタンか、チャールズ皇太子みたいです。で、クラブのネクタイというのがあって、青と赤のレジメンタル・タイ。皆がこれをしているんです。おじいちゃんになった寄宿舎の生徒みたいで微笑ましい。
一方女性客、殆どが、ナンシー・レーガンか、シモーヌ・ボーボワールか。こんな感じです。
講演ですが、中国と米国は、Relation dangereuse、危険な関係、いつ敵となってもおかしくないけど、表面上は密接。お互いのお金は好きだけど、性格(ポリシー)は大っ嫌い。そんな二人が何かと一緒に過ごす危険性、わかりますよね?と女性に向かって微笑むMonsieur Ambassadeur。嫁と姑の関係でしょうか。
中国と欧州は、欧州は便利な駒としてみなされているだけで、重要ではないとのこと。ドイツとフランス、どっちが大切かって?既に対等ではないのですよ、ドイツの方が断然強いんです、と。
話の中で、GDPが米国一位、中国が日本を抜かして二位、日本は三位になりましたが、というところで、「あぁ、そうだっけ。そして日本は今年は益々後退するんだな」って。順位は全く気にしていないのですが、相対的な話でなく、日本を待っている難題に、一瞬落ち込み。
一方、テーマがテーマとはいえ、日本経済がまるっきり重要視されていないことに、ある種、気持ちよさを感じたり。
もうJapan is No1のような、勘違い、プレッシャーもないのって、三浪して、もう将来を期待されなくなった受験生のような清清しさ、気楽さもあって、いいじゃない。もう好きなように生きようって思い切れるし。
戦後のような状況の今、一から再建する、そんな心持でいいじゃない、なんて、身勝手に思った
り。
住んでいる人たちが、前向きに、前に進むしかない、という必死さが、いつか誰かが言っていた「美しい国」にしていくかもしれないし。
やっぱり外出してよかった、と思った昨夜のJockeyでしたよ。