2013年5月29日水曜日

Why Women Still Can’t Have It All 女性にとって大切なものは何か


また曇り空に戻った今朝のパリです。
太陽は見えないし、肌寒いし、季節の迷子になりそうなのですが、大丈夫。
というのも、近くのローランギャロスでは「全仏テニスオープン」が開催中でして、シャトルバスやら人の往来が増え賑やかなこと! 「全仏オープン」=初夏ですからね、寒くても初夏。曇っていても初夏、です。もう黒っぽい服はダメ、タイツもダメ。寒くとも素足でやせ我慢の季節が来ました、トホホ。

さて、今朝はリオデジャネイロに住む友人から、「ちょっと、ミキ! この記事読んでみて! 目からウロコ、本当に頭殴られた感じよ、読んで感想聞かせてよ!」という、ブラジル人らしいパッションもりもりなメールが届きました。はいはい、とリンクをクリックすると……あのぉ、ポルトガル語なんですが。

でもキーワードを頼りにたどり着いたのがこのリンク

http://www.theatlantic.com/magazine/archive/2012/07/why-women-still-cant-have-it-all/309020/6/

関連和文記事はアンマリー・スローターで検索するといくつか出てきますし、グーグル翻訳かけてみてください。

スローター(女史)氏は、前国務長官のヒラリー・クリントンの政策担当者だった人。それなのに任期途中にして、「子供と時間を過ごすため」退任し、この「Why Women Still Can’t Have It All」というエッセイを発表し反響を呼んだようです。

Why Women Still Can’t Have It All……直訳すると、「なぜ未だに女性は全てを手に入れられないのか」……ちょっとセンセーショナルなタイトルですよね。だって、アメリカでは女性であろうとキャリアも家庭も両立できるんじゃないの? わたしたちもいつかそうなれるんだって信じて頑張ってきたのに、何よ、あれは虚構だったっていうの? と。

そんな裏切られたような気持ちから、長文にもかかわらず食い入るように読んでしまいました。

曰く、

「男女平等の世の中になり(アメリカではね)、女性は家庭もキャリアも得られるようになったというけれど、それは幻想だと思う。」
「男性は大黒柱、女性は家事育児というのは社会が決めただけでなく女性には、母性というものがあって、自分で子供の面倒を見たい、一緒に過ごしたいという欲求がある」
「どんなに重要なポストに就いていても、仕事では代役を見つけることはできるけれど、子供には私しかいない」

などなど。ふむふむ。

わたしも、たった9カ月のワーキングマザー経験を終えたばかり、初の二足の草鞋に、大変だと思うときもありました。産休代理という、長期的な責任をあまり感じなくてよいポストだったのにそうだったのですから、もし、もっと上級の重要なポストだったり、部下の将来を担う立場だと、仕事と子育てとの両立が大変だということは容易に想像できます。

そういえば、7,8年前に出会ったアンマリ――そう、スローター氏と同じお名前なので思い出したのかもしれません。アンマリー、以前は、ルーブルのキュレーターとして、仕事と家庭を両立させながら働いていたけれど、ある時に辞職したそうです。
「勿体ない!」
というと、
「う~ん、でも私の家族の場合、私が働いていない方がよくファンクションするの」
というお答え。なるほど、そういう家庭はあるでしょうね。けれど、共働きでないと人間失格みたいなところがあるフランスでも、働かない、という選択があるんだ、とどこかほっとしたものでした。
……ただし、ですね、「働ないことで経済的な引け目はない?」というわたしの不躾な問いに、「それはないわ、私も相続があって、お金は夫よりもあるから」と、これまたはっきりと教えてくれて……。やっぱりわたしは働かなくちゃ、と思ったものです。


――そんな余談はおいておいて、アンマリー・スローター氏のエッセイに戻ると、
・学校の就業時間をワーキングマザーに沿うようにしたらいい、といいます。
       ……フランスはこの点、既に対応しています。ただ、これは子どもにとってはどうなのかなぁ、学校にいる時間が長すぎて疲れないかしら?と思ったりはします。

・以前は、エリートたるもの、若い時から成功への階段を一気に上り続ける、というパターンが主流だったけれど、寿命も延びた今、そうでないキャリア計画があってもいい。例えば、子供が成長したあと、50代あたりからまたキャリア戦線に戻れるような、そんな計画を立てたらいい。
  ……これは本当にそう思います。子供を持つことを望む女性でしたら、そういう考え方もあり、でしょう。若いうちは、子育てを楽しみにながら、将来の自分のキャリアに必要なスキルを習得したり、情報収集し、子供達が手から離れたら即アクション取る、という計画。
でも、起業するならいいですが、50過ぎた人材を雇ってくれる会社、フランスでは少ないです。将来そうなるといいな。

・とにかく、オフィスで長時間働くというのが美徳という概念を捨てるべき。業務によっては、オフィスでなくてもいいこともあるし。
などなど。

今後は雇用側にそういう理解がないと、女性が社会で活躍し、一方で子供が笑顔で過ごせる社会という2つのゴールは達成されないと思う。ベルカセム女性権利相(そうです、最近は新しい省庁がシャンピニオンのように次々と生まれています)には、こういった啓蒙活動に力を配分してもらいたいです。