2011年6月17日金曜日

ドラマ

今週は、二冊ほど凄い人間ドラマ本を読みました。

一冊目は、ノンフィクション本、「私が誘拐犯になるまで」
オーストラリアで現地の人と国際結婚した若い日本人女性が、結婚の破綻、そして泥沼の離婚訴訟、親権問題、ハーグ条約について、異常な元夫の執着 etc.,を激情走った文体で書き綴った手記です。人気ブログが本として出版された、ということで、決して文学的ではなく、また、好きな本でもない。読な くてもよい本ではなかったのだと思う。
でも読んでしまった。そして、読んだその夜はアドレナリンが沈まず、眠れませんでした。とにかく凄いドラマです。

唯でさえ、訴訟マニアの狂人と結婚して、子供を作ってしまった悲劇が、海外における国際結婚という複雑味が加わって、悲惨なのです。最終的にはタイトルどおり、この方、豪州においては誘拐犯としてWantedらしいです。
それでもへこたれない強さがアッパレ。離婚に悩んでいたり、配偶者からのモラルハラスメント、DVなどで動けないでいる人などは、これを読んだら、私もできるかしら、って勇気がでるかも。

「ハーグ条約」、日本に住む方には馴染みがない言葉かもしれません。
これは海外在住邦人には、「いざとなったら子連れで日本に逃げ帰る」式駆け込み離婚に関する条約、と認識されている国際協定です。今までは日本がこれに加 盟していなかったので、この駆け込み離婚も何とかなる、と見られていましたが、このところ、日本が当条約に加盟するという方向で準備が進んでいるので、こ れからは駆け込み離婚したら日本でも誘拐犯扱いされるのかもしれません。。筆者はこの条約が、大人の親としての権利を守るためのもので、子供の幸せ、人権 を考えていないところがある、という意見のようです。豪州の親権についても同様の意見。
私の周りには外国人パパ、日本人ママによる日仏家族が多く、「『ある日帰ると、家が空っぽ、置き手紙でお別れ』っていうのは辞めてくれよな」、なんて引き つった顔で笑っているお父さんがいたりします。大概、奥さんは、クールな顔で旦那を見つめているだけ。大和撫子、ポーカーフェイスの微笑みがちょっと恐 かったりします。

もう一冊は、思いっきりフィクション。最近凝っている向田邦子の「阿修羅のごとく」でTVドラマのシナリオ本です。
これが滅茶苦茶面白かった。唯々素晴らしいです。上の本とは全く違い、どちらかといえば、こちらTVドラマの方が現実話より穏やかで、本当、事実は小説より奇なり。国際もハーグも狂人も出てこないし、普通のどっかの街中の、そこら辺のオジサン・オバサンの話です。
でもドラマ性だったら負けていない、そう思わされる筆力、構成の素晴らしさ。

中年の4人姉妹、一見、平和で平凡にそれぞれの生活を送っているのが、少しずつ、静かに、話が進み、この平凡というものがいかに危うい均衡状態なのかが露呈されていくのです。日々の機微、喜怒哀楽、愛情の描写に泣いたり笑ったりしながら一気に読んでしまいました。
細雪と似たタイプの話だけど、完全に非なるものに出来上がっている。向田邦子の個性・才能がぎゅっと詰まっていて、読んで良かった!こんなもの書ける人が居たんだ!ってじわじわ感動が湧いてくる。
このTVドラマ、子供の時に見た覚えがあります。もちろん、この複雑な大人のドラマは理解してなかったけど、薄っすら覚えている。暗いのに可笑しい独特な雰囲気や、いしだあゆみのめがね姿、八千草薫の可愛らしさ、緒方拳もいたっけな、とか。
振り返れば、才能豊かで味のある役者さんが沢山いた時代だったのですね、昭和って。

フィクション、ノンフィクション、この世にはドラマが一杯で、不幸もあれば幸福もあり。人の不幸はちょっと楽しかったり、幸福は妬ましかったり、と人間の気持は複雑です。
そんな幸不幸が混じりあう人の世って、面白い。もっと街に出よう、もっと色々な人に出逢ってドラマに入ろう、と思わされた本達との出会いでした。

皆さん良い週末を!

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