一言、面白かったです! 帯にあるとおり、ミヒャエル・エンデぽくもあり、ハリポタのようなスピード感あり、また架空の設定も念蜜に作られていて、エンターテイメント度高し。 話の筋をアマゾンから引っ張ると…… 「永遠の世界からやってきた妖精・フィツにとって、何もかもが移りゆく地上世界は不思議な場所だった。ここで最初に話したひとりの人間を観察し、「地球は滅びるべきか」という問いの答えを見つける使命を負ったフィツは…」 (ここよりワタクシ目がつづけます) ペチカという孤児にくっついていく羽目になる。ペチカは、過酷な環境・貧困からかなり不良です。そんなペチカは運命に翻弄されながらも、フィツやその他の大人に助けられ、随分良い子になりました。一方、ある事件からペチカと別れ別れになった妖精フィツは、妖精の国に帰ることなく、人の世界で散々な目に会いながらもペチカを探します。その過程で「妖精のような」美しい心もねじれてしまいました。誰だって、環境に恵まれなければ悪い子にだってなる、かな? そして……ネタバレはしません。 最後は色々あってメデタシ、という終わり。 途中から、やめられない、止まらない状態になりました。 でも、スピード感だけではない、深いメッセージもいくつかあります。 その一つ、 「みんな人生という旅人であり、その途中にいるんだよ。」 ……本当にそうです。 最近歳なのでしょうか、自分の出発点、通過点を回顧するのが好きになりました。辛かったとき、幸せだったときを確認すると、自分の原点を見つけたような安堵感でほっとします。そして、パワースポットにいるかのように何か充電されるような感あり。 そんな心の旅を終えると、自然と明日を頑張ろう、充足したゴールインを目指してがんばろう、という気持になります。 2つ目のメッセージは、 「人間は(妖精とちがって)永遠というベースで生きていない。(命には限りがあるということ)ということは、変わることが出来るってことで、だから人はすばらしい!」 ……これはわかるような、そうでないような。短絡的な私としては、もっと直球でメッセージを伝えてほしかったです。 そして、人間は変わることができる。 ……そうなのかな。どうかな。 こういう肝心なところこそ、ストーリーの中で説得せねばならないだろうに、若干弱いような気がしました。ペチカは変わったというけれど、本当に変わったのか。イマイチはっきりしていないように感じられました。 さて、この本の登場人物達は、虐待されていたり、親の愛が薄かったりする子供達です。それが成長するにしたがって、キレる子になったり、良い子になったり。 そこで、ふと知りたくなったことがあります。 定説で、幼少の頃に虐待された人はそのトラウマを乗り越えられないとか、逆に、どんなに辛い状況にあっても、親から(誰かから)愛された記憶で人間は立ち直ることが出来るとか、聞きませんか? 例えば、故エリザベス・テーラーはアル中だったとき、不幸・不安の底にいたけれど、幼少の頃の幸せな思い出(愛されたという記憶)から自信を回復しアル中を克服した、とか。 では、そういう体験をしていない、愛されなかった子供はどうやったら救われるのでしょうか。 キレてしまう子供達は、一説では、親が間違った愛、本当の愛ではないものを注いでしまったから、殺傷事件を起こすっていうけれど、彼らは救われないのでしょうか。 そんなことない、救いがあってほしいです。 人の、正しくありたい、という本能は予想以上に強いものだと思います、と言い切りたいけれど、平々凡々に育った平和ボケおばさんのたわごとなのかもしれない。 ……脱線しましたが、大人でも面白い本でした。星4つかな。 |