通信簿受け取るたびに、「えっ、もう?」とビックリなのですが、年に何回もらうのかしら。
フランスの小・中学校は9月に新学期が始まると、7週間於きに2週間の休みが入ります。高校も同じかも。
多くの親が反対しているこのバカンスのリズム、具体的には、10月下旬に秋休みがあり、次はクリスマス休み、そのあとは通称「スキー休み」という冬休みが3月にあって、その後は春休みが4月・5月にかけてあり、最後に2カ月もの長い夏休みとなります。
……ということは5回も通信簿があるのか。
全てを忘れ、秋休み中の兄猿 |
各テスト20点満点で、国語は、文法、話力、読解力、スペリング、ヒヤリング、etcの項目ごとにテスト。
算数も、計算、図形などの項目があり、小学校3年生の兄猿は英語も評価対象です。
これらテストの得点の個人平均が出され、クラス平均が出され、自分の立ち位置が明確にわかるようになっているのです。たとえ、高得点だとしても平均を下回ればまずい。
シビアでしょう?
そうそう、スポーツは別途評価表が来るけれど、これは重きを置かれていません。
あと、音楽や図画工作などのクラスがないのです、子猿たちの学校。義務じゃないそう。
スポーツもちょっと前までは授業のカリキュラムになかったそうですよ。
一応、総合的な授業態度とか、素行についての評価もあり、これはABCの三段階評価。
通信簿が7週目のどこかで渡されることから考えると、休み明け5週目、6週目はテストが実施される。そうなると残るは4、5週間だけ。休み明けの最初の一週間は、児童も休みボケしているだろうから、本格的な授業は3、4週間か。これを5学期(?)やるから、年間15、20週間。
やたら非効率な気がします。一方でやってる内容みると、結構な量ですから、詰め込んでるのでしょう、先生方。
こんなんでいいのかい?フランスよ。
親の心、子知らず。のどかな兄猿 |
通信簿もらう度にじわじわと下降気味。とにかく今は勉強癖をつけることをモットーに、夏休みや週末は少しでもいいから机に向かうよう仕向けてつもりだったから、その成果がまるで出ていないことに母猿はがっかり。
奇しくも通信簿をもらった日は、中学生の子を持つ友人らとお昼を一緒し、大きくなればなるほどいかに勉強が大変か、いい学校に入れるのがどれだけ大変か、というのを聞いたところだったので、かなり心配にもなり。
中学・高校のシステムは、ですね、パリ近郊の公立校は東京近郊とほぼ同じシステムで、各小学校、中学校に学区が定められていて、手続きさせすれば自動的に各々の学校に受け入れてもらえます。
次のステップの高校ですが、日本のような受験システムではなく、内申が重視されるシステムです。名門校などは、内申が20点満点中16点あたりで足切りされ、折角クラスメートらと一緒に高校に上がれる、と思っていたのに肩叩きされ、空きがある高校に転校を余儀なくされることも多いそう。
日本の受験制度もエグイけれど、フランスの制度も結構厳しいんだなぁ。
……そこで兄猿よ、君どーすんの?
あと2年半あるとはいえ、このままだとマズイよ、君。
君の学校は私立だから小学校から中学に行くときにかなり肩叩きするらしいよ。
「ぼかぁ、この学校大好き」
って内気な君が言うほど好きな学校なのに、外に出されちゃうよ。
父親は、
「いいか、勉強するといろんなことが分かるようになるし、面白い友達もできるから、La vie est belle(楽しい人生が待ってる)。でも勉強しないと何にもわからないままで、悪い友達しかできなくて、La vie est triste (悲しい人生さ)」と諭そうとします。ちょっと哲学的な感じがフランス的ね。でも兄猿、分かるのかしら、この説教のポイント。
案の定、兄猿、一瞬ポカーンとしたあと、無言でご飯を食べ続けます。
「わかったの?」
と母猿が問い詰めると
「うん、聞いてたよ、お代わりください!」
……母猿無言です。
宇宙ステーションより撮影されたパリ・ロンドンの夜景だそうです。©ESA |
そして朝が来て、寝不足の不満を兄猿にぶつけようと
「ママ、眠れなかった。なんでかわかる?アンタの将来を思うと不安で眠れなかった」
というと
「ボクだって眠れなかったんだ」
と打ち返す兄猿。
「でね、眠れないからカーテンの隙間から外を観てたら、流れ星を見たんだよ。だからいいよね?」
母猿「???」
「流れ星にお祈りしたから、もう大丈夫だと思う」
これはポジティブ・シンキングと呼ぶのでしょうか。
せめていつまでも、この図太いがまでの能天気さを失うことなく、人生を航海してもらいたい、と切に願う母猿です。