2012年5月2日水曜日

また恋してしまった!

4月は何と慌しく過ぎてしまったことでしょう。イースター休暇、春休み、天候不安、子猿達の謎の湿疹、虫歯……春風のような小さなタービュランスにクルクル廻された母猿でした。

さて、そんな私。
春休みの間、夜スクリーンを通してこの人に会えるのを楽しみに一日頑張った。
"Name's Foyle"
フォイル警部を演じるマイケル・キッチン氏。
http://www.anthonyhorowitz.com/gallery/foyles-war/GU2A0717.JPG.php
「Foyle’s War」というイギリスのTVシリーズ、日本では放映されていないようですね。
第二次世界大戦下のイギリスの港町、ヘイスティングスを舞台に難解事件を解決するフォイル警部というのが、このマイケル・キッチンの役どころです。
フォイル警部は非常にDecentな人として描かれています。戦渦の中、何が正しくて間違っているのか、人々の倫理観は大きくブレていくけれど、フォイル警部は強く優しく真っ直ぐ。強いけれど繊細で、厳しいけれど優しくって、主張すべき時は主張するけれどとても静かなキャラクターです。

この静かさがいいの!台詞は少ない。大抵、
「Right(そう)」
「Precisely (そのとおり)」
「Perfectly」
「Well(……そう)」
といった短い一言しか発しないけれど、視線、身体の傾げ方、間のとり方などで見事に全てを表現するのですよ、フォイル警部を演じるキッチン氏は。

脇役達、ストーリーもとてもいい。
背景より1930年代終わりから45年まで英国がヒットラー率いるドイツ軍にぎりぎりまで迫られどれだけ追い詰められてたか、という、日本ではあまり知られていない欧州の戦渦の様子を垣間見ることができます。そして、絶対的な印象として戦争の無意味さを痛感させられる。
その中で殺人事件が起き、フォイル警部の謎解きで終わる。緊迫のシーンあり、静かな笑いあり、のどかさもあり、涙もある。

春休みの間にシーズン7まで全部観てしまいました。終わってしまって悲しいです。2013年に新しいシーズンが始まるらしいけれど、それまでどうしたらいいの?
……すぐドラマの主人公に恋してしまう母猿なのでした。

近年は縁あって、英国TVシリーズをよく観ていますが、凄いな、と圧倒されています。アメリカモノもいいのがありますが、英国ドラマの底力は凄いと思う。フランスモノ、日本はダメダメ。全然ダメ。(なんて観てもいないのに決めつけてますのであまり気にしないでください)

英国は、まず役者がいい。いい役者が山ほどいる。外見なんかどうでもいい。演技力でノックアウトされます。多くの役者はロイヤル・シェークスピアなどの演劇グループ出身のようです。どの役者も、労働者から伯爵だろうが、掃除婦も高級コールガールも演じ分けることでしょう。

そしてシナリオがいい。うそっぽくない。人格を見事に表現している台詞達。

舞台設定もいい。時代考証もいい。衣装もいい。制作費一体幾らかかってんだ!と聞きたくなる。(多分、そんなにかかっていないのでしょう、爆発シーンとか少ないし)

……これも経済効果から考えれば納得できることなのでしょう。英語圏、英国文化共有圏は広い。インド、オーストラリアなど、色々な国に売ることができるから、製作会社も投資のし甲斐もある。

はて、日本は、と考えると頑張ってアジア圏ってとこ?アジアで日本と似た文化を共有する国といえば韓国と台湾くらいかな。だからああいう作り方になる?

あと視聴者の成熟度という問題もある。

イギリスモノ見ている限り、視聴者は現実大のドラマを期待している、現実を否定せずに、それを多少脚色したようなドラマを期待しているのではないか、と思わされます。だから主人公が普通のおばさんで本当におばさんしている役者さんでもいいし、おっさんくさい役者さんでもいい。そのほうがいい。自分を重ねられるから。そんな自分のような人達が生むドラマが好き。

一方、日本の視聴者は現実から逃げるためにドラマを観るのではないか。
だから、やたら綺麗な女優さん、タレントが出ていればOK,演技力なんていいの、人物にそぐわない配役でもいいわ、現実性は期待していないから。そのキレイなお顔を見せてちょうだい、キレイな洋服と足を見せて、それだけでいいの。小さなファンタジーをちょうだいね。

ドラマに求めるものが、現実大・妄想のどっちでもいいのですが、私は、何か希望を残すものでないとダメ。エンターテイメントだけじゃ観終わったときに「ちっ、無駄な時間過ごしちゃった」と思うのです。
「人間ってこんな感動を人に与えることがことができるんだ!」と思わせてくれる、そういうTake away付きでないとダメ。欲張りなのでしょう。

そんなお勧めドラマをリストアップします。残念ながら日本語になってないのが多いですね。
・女警部ヴェラ 
・BBCのクライムサスペンスドラマ『Silent Witness』
警部モース
・警部ルイス
・警部ワランダー(ケネス・ブラナーのが好き)
名探偵ポアロ(David Suchet版)(DVDボックスだと49800円???高すぎる!)
シャーロック・ホームズ(Jeremy Bred版)
警部フロスト
NHKの「海外ドラマシリーズ」ってもうやってないのかな?是非上の番組の放映権買ってください。うちの母が観たがるだろうから。

さて、どうだっていい私の独断流ドラマ論にお付き合い頂ましてありがとうございます。
皆さん、どうぞよい一日を!