今日はVililer というメトロの駅の近くにある、Mum Dim Sumという飲茶屋さんに行きました。
リンク行ってみてください。 美味しそうでしょう? 先日のフィガロに載っていて、うちからアクセスよさそうだし、「行ってみようっか」なんて気軽に友を募ったけれど2重の失敗でした~。
まず、食べ物ですが、写真からイメージしたのと全然違います。包子の皮が良くない。スープはしょうゆ汁って感じだし。工場で買った包子ではなくて一つ一つ店で手作りしているという点は有難いけれど、う~ん、合格点はあげられないです。
そしてうちから車か自転車だったら遠くない距離だと思うけれど、すごく交通の便が悪かったのも私の大勘違いでした。50分以上かかったかも。
ただね、そのおかげで久しぶりに52番のバスに乗ることになって、これはよかったな。
こんなこと言っても判るのはローカルな人だけですが、52番のバスはちょっといいところを通るのですよ。
お分かりになるかしら。52番は西の郊外から始まって、16区の中でもアッパーな閑静な住宅街を通り、トロカデロ広場前では絵葉書のようなエッフェル塔を見ることができて、その後凱旋門を半周りして、オペラまで行くのです。
トロトロと進む路線バス。
文庫本を読みながら、バスだと車酔いするのでところどころで顔を上げます。
Rodinの辺りでは、美しいバラが先ほころぶアパルトマンの庭先に、「アッパー16区はお品が良くてやっぱり肌に合わない」、と思ったり(住んでいる方いらしたらごめんなさいね。下町っ子の嫉妬ですのでどうか流してくださいまし)、
昔通ったフランス語教室があるVictor Hugo通り付近では、終着駅が見えない恋に悩む自分を思い出したり、
シャンゼリゼのてっぺんにカタール大使館があることに気づいたり。
52番の車窓からはお澄まし顔のパリが次から次へと映し出されます。
好きか、嫌いかと聞かれたら、答えに詰まると思う。
何か自分にフィットしないものを感じます。私という人間の来歴と重なる点がないのです。延べ10年近く住んでいて、これですから困り者です。
でも、ここが私の住む町なんだなぁ、って思いました。お上品で、ちょっと冷たいパリ西部、ここが、夫と子猿たちとささやかな家庭を営み、根っこを張っている「私の町」なのです。
間もなく日本に帰省するのですが、もはや「帰省」というのには無理があるほど、根がなくなってしまいました。
そういえば、渋谷駅の東横線の改札がなくなるとか? 高校のとき、友達と待ち合わせしたり、憧れの君と乗り合わせるために8時16分発に駆け込んだ、思い出のプラットホームだったのにな。
こんな風にどんどん私の思い出の素がなくなっている。
だからね、私が帰ってくるのはここ。
エッフェル塔を見ながらそんなことを自分に言い聞かせた52番の旅でした。
オマケ
My little hometown by 桑田さん