2011年7月26日火曜日

憎らしいほどに美しいです!

バカンス、サルト地方での結婚式に出席したあと、更に西に向かい、ブルターニュはメスケーに来ています。メスケーには義理の家族の海の家があり、我が家の夏の定番のデスティネーションです。
フランスの地図を思い浮かべてください。ここがブルターニュです。結構大きいでしょう?

昔は寂れた海辺の村だったそうですが、今や夏の保養地として、南のコートダジュールと二分している感ありです。

ニース、カンヌなどからなるコートダジュールは、その殆どが黒い小石からなる幅細い海辺で、コートダジュールというと「青い海と白い砂」というイメージを持っていた私は初めて訪れた時などは「なんだ黒砂利か」とがっかりしたものです。
長所は地中海の美しさ。水温も程よく、海は蒼々としてて、ほんと、青い海岸(=コート・ダ・ジュール)とはよく言ったもの。海岸線の街路樹は椰子の樹々、レストランが連なり、景観は「ザ・地中海!」って感じです。

一方、こちらブルターニュの海は大西洋。水温は真夏でも18度~23度で、湘南や伊豆の暖かな太平洋に慣れている私にはとてもとても冷たくて泳ぐ気にはなれないけど、透明度が高く、どこまでも続く水平線が壮大で美しい。浜辺は長く広く、一面、白いサラサラの砂です。朝夕には近くの乗馬クラブが何とも美しい馬達をギャロップさせていたりするし、浜辺には所々に大きな岩々があり、恰好の風よけにもなっている。ヨットやサーフィングを楽しむ人達もいるけれど、その隣の入り江には漁師もいるし、蛎やムールなども養殖していて素朴さも残り、ほんと、いい感じなのです。

けれど…。
ここメスケーの浜辺の美しさは素晴らしすぎます。
自然体の自然。
松林の中に佇む藁葺き屋根のコテージといい、大きな岩々に打ち寄せるダイナミックな波といい、すべてがしっくりしすぎるほどしっくりした景観で、ふと私は不安な気持ちになったりします。
多分それは、私がこんな美しい海の原風景を持っていないからだと思います。
海といえば人が鰯状態でひしめきあっていたし、かつては美しかっただろう海岸線はは安っぽいホテルや有線放送で台無しにされていたし、スイカの皮やポテトチップスの袋が砂にまみれていた…。それでも、そんな中ででも、青春を謳歌したのに、したつもりでいたのに、こんなにきれいな浜辺を今更みせられても、どう思っていいのかわからないのだと思います。
素直に「きれいねぇ」って言いたくない。そうすると私の思い出の海が「悔しい」とか、「惨め」とかって、ひねくれそうで。

「なにさ、なにさ」なんて、ぷんぷんしながらの海水浴の帰り道。来年も、再来年も、何回も来るであろうメスケーの村。これからも、こうして圧倒されたり、拒否しあったりしながら付き合っていくような予感がします。