2020年8月11日火曜日

フランスの夏②自然に寄り添う暑さ対策


暑中お見舞い申し上げます。

……もう立秋を過ぎたので、正しい挨拶は「暑中」ではなく「残暑」らしいのですが、日本もフランスも猛暑真っ只中。今週いっぱいは「暑中」の方がピンとくるのでこれでいっちゃいますね。

それにしても暑いですねぇ。
それでもフランスは、冷房が日本ほど普及していません。
最近になってこそ、「寝室用の冷房を買った」という方の声も聞くようになったけれど、私の周りではまだまだ少数派。
毎夏のように、カニクル(Canicule 熱波)が来るようになって久しいフランスなのに、何故普及しないのでしょう。

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一つには、カニクルは一週間くらいしか続かないことが多いというのがあると思います。酷暑も、トンネルの先が見えていると、耐えられるもの。
また、フランスの熱波はカラッとしているので日本の温度も湿度もという暑さと比べれば、ライト級と言えるのでしょう。

二つには、フランスは、外観に煩い、というのがあります。市やアパルトマンのルールで、空気孔を開けたり、外に装置をつけることを許さないところが多いようです。ブティックなどでも、大きめな空気清浄機のようなクーラーを使っているのを見かけます。

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フランス人は、クーラーなしで、どうやって暑さを凌ぐかというと、答えは明瞭。
都会を脱出して、海へ山へとバカンスに行くのです。
冗談ではありません。
フランス人のバカンスへの執着の強さは、異常なほど。よほど普段の生活がストレスフルなのかしら、などと考えてしまう。

政府も、今バカンス中断してロックダウンしろ、などと言ったら暴動が起きかねないと思って我慢しているのでは。(もしくは、自分がバカンスに行きたいから何も言わない、とか)
と言うのも、今や、コロナの新規感染者数はロックダウン中の4月下旬と同じレベル。海岸線の地方は特に感染者が多くなっています。

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暑さ対策に話を戻します。
都市でもバカンス先でも、やることは同じ。
朝、まだ涼しい間に窓を全開し、冷たい空気を家に取り込みます。そして、暑くなってくる前に(今朝だと9時頃)雨戸も窓も全て閉めるのです。うちは、雨戸の外にある、日除けも下げ、雨戸や窓が熱を室内に伝導するのをできるだけ避ける作戦です。

フランスの家屋は、鉄筋や石づくりのことが多く、昨今は、断熱素材を使うこと奨励されているので、この密閉作戦はそれなりに効果があります。

ただ、薄暗い、密閉した部屋で夕暮れが始まる七時頃まで、じっと過ごすのは気が滅入るもの。バカンスに出たくなる気持ちも分かります。

もしかしたら、パリの住宅に冷房完備がスタンダードになったら、バカンスに出る人が少なくなるかもしれませんね。

いやいや、頑固で、自然が大好きなフランス人のこと。夏は海へ、山へバカンスに出る! 家に居るときは閉めきり作戦を続け、じっと薄暗い中で過ごすんだ!と言い張りそう。

写真は、そんな閉めきった家の窓から撮りました。
いつもの景色も、窓から見ると物語のよう。
何か、自分の心の中を見ているような不思議な気分です。

晴耕雨読ならぬ、避暑内省? この午後は、自分の内側を散策してみようか、と思います。何か発見がありそうな予感。

皆様もどうぞご自愛されますように。