2017年1月30日月曜日

社交界の終焉

皆さま、新年明けての一か月、いかがお過ごしでしたか?
こちらフランスは寒波に襲われたり、雨降りだったり、と、欧州の長い冬真っ最中。
冬至を過ぎた今も、日の出は8時半ごろです。
下の動画は、パリ市の西南をセーヌ側に沿って走るトラムから取った風景です。

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そんな中、家族一同、インフルエンザにもかからずに元気に過ごしています。
そして今年の一月は、イベントも多くて忙しく過ごしていました。

まず新学期が3日にスタート!
……と思って兄猿・ちび猿を学校に送り込んだら、兄猿は翌日スタートだったー! という初笑い。「なんか静かだな~、と思って廊下で一人で遊んでいたら、先生が『アナタ何してんの、今日は先生たちだけよ』だって」って。
私の疑問は、それなら何で帰って来たのが11時近かったのか、ということ。それまで気づかなかったの???

兄猿は、その翌週にはこちらに来て初めてのお泊り誕生日パーティに招かれ大喜びでした。
現在11歳。
身体も大きくなって、ティーンへの道を着々と歩んでいます。

こちらは妙に真面目に見えるちび猿。
普段は相変わらずお茶らけキャラの典型的次男坊
後述のパーティにて、「スターウォーズ」のテーマを演奏中
そして、14日には、義理の両親の金婚式パーティがありました。
会場はシャンゼリゼの袂にる、Le Jockey club。プルーストの「失われた時を求めて」にも登場する由緒正しき紳士クラブです。
そこに総勢80名余りの、家族、親戚、友達を招いてのパーティ。
「最近のフランスは、暗いし、不景気だし、明るい気持ちになることをしたくって」
と義母がオーガナイズしました。
「楽しく楽しく、とにかく楽しく」をモットーに、孫たちがエンターテイメントを託され、男性は何年ぶりかにタキシードを着せられ、女性たちは久々にドレスアップすることを求められ、と大騒ぎ。

わが家でも年末から子供たちにピアノを練習させ、夫は何回もスピーチを書き直し、私は子供+夫のズボンの丈を出したり、アイロン掛けたり、そして自分は新しいドレス(それも背中が開いたデザイン!)を新調したり(😊)。

こういう宴では、円卓が幾つか設置され、夫婦はバラバラに着席です。
よって、毎回、お隣にアサインされた見知らぬ紳士と会話しなくてはならなく、未だに言葉に自信がありませんし、そうでなくても会話力も低いので、これがとても辛いというか、申し訳ないというか、恐怖なのですが、今回は義母が色々配慮して下さり、
「会話に困ったらシグナル出して、そしたら助けるから」という、気さくなニコラ、
「Miki, I speak English」と申し出てくれる義理姪のエレノアなどが周りを固めてくれたので、お隣の老紳士との会話にも大船に乗った気持ちで挑め、楽しいとすら思えたのです。


だた、ふとテーブルの他の方に目を向けると、あらあら。皆さん、もう会話もなく、手持ち無沙汰で疲れ顔です。食事の始まる頃は、「初めまして、誰々の娘の婿です」「わたくしは、誰々の何々時代の友です」って挨拶しあっていて、「さすが、社交慣れしている人はスムーズだわ」と感心していたのですが、そんなことなかったみたい。共通のトピックを見つけ、興味深い話に繋げる、ときおりジョークを交えて、という神業はどこへ行った。

そしてあらためて観察すると、女性の中には、「それは日中の、それも仕事のシーンで着る服では?」みたいな方もチラホラ。相方がタキシードなのに不思議な装いです。そのタキシードも、「十年ぶりに着たらお腹がキツくて」とか、「父のを借りた」とか。確かにズボンのラインが一昔前風だったり。靴やシャツがちょっと違う人もいたかな。
いわゆる上流階級の方達も、ドレスアップする機会が少ないのかな。

また、食事の前後のカクテルタイムも、ぎこちなさそうな人が結構いらっしゃる。
会の終わりの方では、ついに力尽きたように、無表情でだらしなく座っている人もいる。

そんなこんなで思ったのは、もはやフランスの社交界というのは終わっているのではないか、ということです。
超富裕層やセレブ、そして引退組の方たちは別として、
30~50代の現役世代とって社交界は存在しない。

少し前までだったら、たとえ現役組でも、ドレスアップしてソワレに行き、軽く知っている人達で集まって、軽いジョークを交えた軽い会話を楽しむ、という余裕があったのでしょうが、時代は変わり、仕事の比重が大きくなり、社交する体力など残っていないのかもしれません。

今は、皆、仕事だなんだでクタクタに疲れていて、顔見知り程度の知人が集うパーティで、意味のない会話を楽しむなど勘弁してくれ。
それよりは早く退社できる日は家族で団らんするか、落ち着くレストランで親しい友人と大切な話したい、そういう時代なのではないか、と思ったのです。

そんな一シーンもありましたが、総じてとても素敵なソワレでした。
義理の両親よ、次回は、ダイアモンド婚式パーティを待っていますぞ!


マエストロも外出を始めました












2017年1月2日月曜日

明けましておめでとうございます!


皆様、
粉雪散らつくヴェルサイユより、明けましておめでとうございます。
今年もどうぞお付き合いのほど、宜しくお願いいたします。


宮殿庭園の運河も凍てつかんばかり...
このクリスマス休暇、2年ぶりにフランスで過ごしたわけですが、パーティだ、コンサートだ、と行事が多く、土壇場で、今までは夫に任せていたサンタの役が、彼があまりに忙しいため、私に降りかかってきて、さあ大変。加えて、久々に何日にも渡って夫の家族と過ごすこともプレッシャーで、マラソンランナーのように、寡黙に走り続ける、そんな年末を過ごしました。
今、無事にゴールし、シャンパン片手にほっとしているところです。

新年のご挨拶の代わりに、
クリスマスに、義理両親のメゾン・ドゥ・カンパーニュで撮った写真が意外ときれいだったので、Allez、フォトログ行きます。
義母、オランジュリーにて。
その昔、ビニールならぬ、ガラスハウスで

オレンジなどの温かい気候の植物を育てるために建てられたオランジュリー。
オレンジはすでに収穫され、マーマレードになっていました。
今年は柑橘類が豊作だったそうです。
見ているだけで、ビタミンが湧いてきそうではありませんか?
冬至は過ぎましたが、朝9時近くまで薄暗いフランスです。
田舎は、毎朝、霜が降りて雪景色かのよう。
ほら、真っ白!
ノエル、大人達のテーブル。
ご馳走の写真は撮りそびれましたが、素晴らしかったです。
愛猫マエストロもロティのお裾分けを頂いて、大満足。


翌日は、私がお昼を担当。
……と言っても、調理なしなのですが!
Mont d'or(モンドール)と呼ばれるチーズをオーブンに入れただけの、チーズ・フォンデュにしました。
モンドールは、チーズの周りをモミの木の皮で囲っていて、森の匂いがする、この季節ならではのチーズ。
普通はカマンベールの2倍くらい、この写真の何分の一かというサイズですが、今回は大人7名、食べ盛りの子供8名ですので、豪華に大きなモンドール2つ! 
一つ当り、3キロ弱、計5キロ強。やりすぎかな~、と危惧したけれど、侮ることなかれ。フランス人のチーズ力はスゴイのです。殆どきれいになくなりました。

こうやって食べます。
フォンデュで大興奮のあと、ちび猿、風邪でダウン。
この冬休みの読書は、何故か引き寄せられて手に取った村上春樹氏の「アンダーグラウンド」。
サリン事件の被害者62名にインタビューしたルポルタージュです。

風化させてはいけない、という思いで書かれたとのこと。
その時代に居たくせに、あの恐ろしい事件の詳細を忘れていた自分がいました。本として形に残しておけば、こうして私のような気まぐれな読者が現れるのですから、正しいことをされたと思います。
フィクションに関してはアンチ村上な私ですが、この本に関しては、頭を下げて御礼を言いたいです。
テロは許せない。この事件は忘れてはいけない。

それはそれとして、この分厚い本を途中放棄することなく読み終えてしまったのは、一人一人のインタビューが良く聞き出されていたからだと思います。
もちろん、それぞれのサリン事件に巻き込まれた様子について語ってるのですが、その語り口からは、彼ら自身の「物語」というか、その方の性格やサリン前、サリン後、どのように生きてきたか、オウムが誕生するようなねじれまくった日本で、どうやって折り合い付けて生きてきたのか、ということが透かし見え、62名の皆さんの生き様に引き込まれて読んでしまったところがあります。
冬景色が実は一番好きかも・・・
お一人お一人の話が、
地下鉄を使って生きているというだけで、
小学高学年から地下鉄に乗って通学していた自分、
「アンダーグラウンド」で、毎日24時間のうちの約3時間を過ごしていた若き日の自分の話のように感じられ、なんともエンパシーだったのです。


寒いけれど、空気が澄んでいるので、ほら、夕焼けがすごいの!

2017年はどんな年になるのでしょう。

友人の占いによると、いい年になるらしい。
今年は何故か、それを素直に信じたい。

大切な人、家族と共に過ごされる時間が少しでも長い、そんな一年でありますように、心より祈っております。

今年もどうぞよろしく!