2016年12月9日金曜日

私のフランス観

ヴェルサイユ宮殿の厩舎
長いこと書きたいな~、でもうまく書けない、と思っていたこと。それは私の目からみたフランスの実情です。毎回チャレンジする度に、長過ぎ、そしてネガティブ、プラス知識も少ないので、途中でも「もういいや」と投げだしていました。

でも、いい加減、言い切ってみたい!、これ以上、胸に留めているのもイヤだ!と思ったので、2016年のうちにアップロードしたいと思います。

やっぱり、長くて、そしてかなりネガティブになってしまったけど、もっとフランスが好きになりたいのに、中々そうさせてもらえない、そんな苛立ちから来た愚痴だと思ってください。

また誤った解釈もきっとあると思いますので、もしご指摘頂ければ有難く。

この8月に、2年の日本滞在を終え、フランスに戻ってきました。

戻ってくる前から危惧していたけれど、思ってた通り、フランス、クラい。

パリ、街が汚れています。

清掃の予算がないのでは、と気になるほど、道やメトロが汚れています。
物乞いの数がより増えました。
新しい建築も幾つか見かけましたが、古いSF映画風のものだったり、どことなくアラブ風だったりで、私のテイストにそぐわないものばかり。

そして、殆どの建物に、鉄格子で囲いがしてある。テロ・犯罪の脅威から守らなくてはならないのはわかるけれど、だったら、こういうところでこそ、おフランスなんだから鉄格子も芸術的なデザインにできなかったのか、それとも警告という意味で鉄格子でなくてはいけないのか。

いずれにせよ、寒々とする光景です。
鉄格子は役に立つのだろうか……

フランスといえば、仕事が遅いことで有名ですが、それも拍車がかかったかな?

例えばパリの中心、シャトレ駅はメトロが何本も停まり、郊外電車とも乗り継げるので地下に大きな構内があります。日本に発つ2年前も、構内が工事中でしたが、2年経った今ももちろん工事中。天井のパネルが外されて工事現場状態。
天井からメデューサの髪が如く太いケーブルがぶら下がっていて、SF映画風。


民よ、ああ、民よ
人も良くなくなったと思います。
夫曰く、会社の雰囲気がすごく悪いそう。不景気が続いていて、皆、煮詰まっているらしい。
先日の話はそれを象徴するような笑い話(?!?)がありました。

夫、他部署の人4人とクライントとのミーティングのため、出張に行くことなりました、と。
そこで秘書に航空券の手配を頼みます。提携している代理店に電話するだけの任務です。
やがて、秘書から、「予約できたそうです」と報告があり、「おお、4人ともOKですか、ありがとう!」というと、
「はあ? 他の人のことは知らないわ。それはその人たちの秘書がやればいいでしょ」と返されたそうです。4人で行く、夫一人が行ってもミーティングが成り立たないことはバカでもわかる。そして4人の秘書がそれぞれに手配したら、もっと面倒くさいし時間の無駄もわかっている。会社全体としたら、コスト無駄にしていることもわかる。
でも「Je m'en fiche, 知らんわ、そんなこと」なのです。

もう一つ秘書ネタで行くと、その出張で同行する人が会社携帯をオーダーしていたそう。

「携帯が準備できているけれど引き取りに来ない」とIT部の人から言われ、夫は、当該の人に内線したら、今日は休みらしい。「彼、明後日の出発までに引き取れるのかな」とその人の秘書に聞くと、条件反射的に、
「Ce n'est pas mon probleme! 知ったことじゃない」と言われたそう。

笑っちゃいました。(夫は笑えなかったらしいけれど!)


でもね、全てがこんな感じなの。小さなことから大きな事まで。

何でそんなに怒っているの? と聞きたくなるほど、皆がイライラしているのです。

皆ぎりぎりで一触即発、そんな印象です。

 地獄の門ロダン作) 
その原因の一つは政治だと思う。

2012年に現在の社会党政権となって、初めて社会主義とは何か、を知ったような気がします。

以前は、日本も政治的には社会民主主義ですし、社会保障制度がそれなりあるけど、結局は資本主義政策取ってるってことなんでしょ、と思っていました。
シラク、そしてサルコジ時代は、日本もフランスもそう変わらないなぁ、と。
世代的にもうイデオロギーとか、そういうのとは無縁の政治音痴だったのです。

でも、今は社会主義を
肌で感じるようになりました。

まずは税金。 社会主義国は保障がある分税金が高い。これは前から。でも社会党政権になってから税金がすごく増えました。

ある日、ぺらーっと税金徴収が来る、額が昨年度より異様に上がっている、また、今まで存在していなかった税金が生まれていたりする。上がる上がると聞いていたけれど、こんなに~?
もちろん、これは社会党でなくても増税はあったかもしれないけれど、やり方が感じ悪い。

ミドルクラスの私たちでこれなら、富裕層がフランス国外に出る気持ちはよくわかります。誰のために働いているのだろう、という気持ちになるでしょう。

フランス籍の大企業も徴税に絶えきれず、次々と拠点をフランス外に移しています。

最近よく聞くフレーズは、「この国はたくさんのレシピエント(受け取り手)と少数のドナーで成り立っている」というもの。


そして、皆がどうやって社会保障システムの恩恵を享受するか、トリックを模索している。

「不景気だから仕事詰まらない。だから首になりたい、そしたら失業保険が2年もらえるし、会社からパッケージもくる」
というのは、耳にタコができるほどよく聞くセリフ。

時には「それは悪用ではないのか、不正直ではないのか」と思う行為もあり、でもそれももはや、当然の権利とされている節あり。


社会保障は、平等性の基に作られたプールだと思うんだけど、多くの人がこのパイからできるだけ分捕れ~、とタカっている感じがします。

ここら辺は今の政権がゆえ、というより、長年フランスを巣くっている「甘えの精神」みたいなのから来る病んだ思考だと思います。
敬愛する友人でもある、中島さおりさん著
彼女の明確でしっかりした文章が大好きです。
そして教育も変になりつつある気がする!

昨今教育改革があり大論争となっていました。
今までの体制は、エリート優遇の制度だったから、そのエリート(≒優秀な生徒のポテンシャルを伸ばすための)向けクラスを廃止するそう。
不平等だから、できるところを切って均すんじゃ、国全体の教育水準下がっちゃうじゃない? そうでなくて、ドロップアウトする子たちを、もっとプロアクティブに救うことを考えようよ。

歴史に関しても手が入り、歴史はフランス革命以降に重きが置かれ、それ以前の過去に関しては、書き換えが多々。例えばイエス・キリストは歴史上存在しないことになりました。現政権の宗教嫌いと無縁な決断とは思えません。


フランスの教育に関しては、わからないことだらけだったのですが、ベストセラー・エッセイスト・翻訳家の中島さおりさんが、自らの子育て体験から興味を持たれみっちりリサーチして書かれた新書、『哲学する子供たち』を読んで、なるほどそうだったのか! と頭スッキリしました。フランスを知る意味でもお勧めします。



考えちゃうよな~。
今の政権から感じるのは、家族とか、宗教とか嫌いなのかな、ということ。
そう思わせられる法案や制度ばかり打ち出しているのです。
家族、とか宗教という共同体の絆を取り払おうとする。
国民は皆、共和国の一員である。ここにあるのは個人と国、それだけ。
だから、親とか、宗教とか黙っててほしい、みたいな。

フランスの「ライシテ」という政教分離主義は、さらに踏み込み、宗教否定しているのでは、と思うことがあります。

もう一つ感じるのは、「怒り」
既存のものに対する、妬みのようなものを感じる。
現政権の皆さん、エリートだったし、多くは恵まれた環境にいて、まさに既存のシステムから享受してきた人達なのに、何故そんなにひねくれている? 

そして感じないのは、イデオロギー。
色々論争を起こすことをしでかしているのに、彼らの思想、そして目指しているところが見えない。
単に現存するシステムに対して反動的なだけで、新しいものが見えてこない。

あと、法の抜け穴を通って、時々、驚くことが起きます。これは日本でもどこでも起きていることだけど。法治国家に対する信頼がグラグラ、恐いです。

来年の大統領選挙には、社会党からはオランドの下で首相を務めたバルス氏が出馬することになったとか。先日のヘッドラインを見ると、彼は、「中国、ロシア、米国、トルコに対して「不屈」の価値観を掲げる国を目指すと言っているよう。なんかこういう好戦的なところも恐い。

戦ったことがない、盛りを過ぎた闘牛が、鼻から息吐き、前足で地面を掻いている、それを、民衆の半分が「ウオーッ!」と煽り、残りの半分は動乱を避けるため、場外に逃げようとバタバタしている、そんな感じがする。

以上、これが、私のフランス観です。


でも、置かれたところで咲く、です。
そして良いところも勿論あるフランスです。
元気にやっていますのでどうぞご心配なく~。


マエストロは、生後5カ月経ちました。