2014年2月4日火曜日

居場所さがし



ラッパ水仙が店に並び始めました
この週末はぐったりとしてました。

先週末のミニ出張の疲れが今頃出たのと、「転勤があるかもしれない、それももしかしたら来年早々」という話が降って湧いたのが昨年末。それ以来、この案件が盛り上がっては沈み、そのたびに、「学校、仕事、引っ越し、ああ大変」と、きっと寝てる間も考えていたのでしょう。毎朝5時前後に目が覚めて、「そうだ、もしもに備えて、あれもやっておかなくちゃ」と、気もそぞろのこの頃でした。

それがどうやら6月ごろまでは保留となった(と夫が決めただけですが)ので、急に気が抜けたのが土曜日。理由がむかつくの。「よく考えたら春に移動は無理だよね」だって。
今頃気づかないで、ってなもんで。

気の抜けた昨日は、疲れがど~っと噴き出ましたさ。普通だったら寝ては起き、の一日だったろうに、哀しいかな、すごく活動的に過ごしてしまいました。

昨日、フランスではLa Chandeleurといってイエス様が初めて寺院に登った日を記念してクレープを食べる日でした。寺院とクレープの繋がりがイマイチはっきりしませんが、とにかくクレープ祭りなのです。

近くの教会では月1回、Pot Luckといってミサのあと、食べ物持ち寄りのピクニックを催しているようで、昨日がその日。もちろんクレープがテーマです。「まぁ、季節の風物詩だし、子供たちのためにも行ってみようか」と出かけてきました。

持ち寄りパーティの原則として、甘いもの、辛い物が偏らないように、アルファベットの真ん中くらいで区切って、前半、後半で担当を分けるのがフランス流。私は甘くないもの担当だったので、自分たち中心メニュー、「ミニ握りとつくね風ミートボール」を持っていきました。

冬の間は屋内ピクニックとのことで、ついさっきまで兄猿の日曜学校だった教室のドアを開けると、殆ど全員が白髪の年配層です。

うっすらそうかな、と思っていたから余りビックリはしませんでした。
が、何に驚いたかというと、その歓迎ぶりです。
私の知ってる年配層は、外様には割と冷たいので、覚悟してたのに、皆さん、満面の笑顔です。
そして、皆さん、年の功だけあって、社交術に長けてらっしゃるから、代わる代わる、自然な感じで話しかけてくださいます。
そして、ただのおにぎり、ミートボールなのに、「まぁ、なんて珍しい!」と召し上げってくださるし、何だかとても暖かい気持ちになりました。

神父様とも今まで個人的な会話をする機会がありませんでしたが、何と8年もワシントンDCにいらしたとか、アメリカで、いかにフランスがマイノリティーなのか、とか、一昔前にエノラゲイがDCの博物館に展示されたときにどれほど多くの人が感情的に批判したとか、そんな話を伺いました。
いままでも、いつもオープン・マインデッドな印象を持っていましたが、本当に謙虚で前向きで明るい思考の方々なんだな、と再確認できました。

とにかく、なんだろなんだろ。
迎え入れられるっていうのが、とても心地よいものだな、と思ったのです。また、私たちが若い(比較したら、ですよ)というだけの付加価値ながらも、私たちがいることで、場が明るくなる、活動的になる(子猿たちが走り回っていたからという噂もありますが)と何だか役に立っている感があったのも、すごく嬉しかったです。

もっと大げさに言うのなら、私だって、社会と交わりたい、そして社会に自分の居場所を持ちたい、実感したい。でもって、その社会にポジティブなものを還元したい。
(でも私、外国人だし、ここは個人主義のパリだし、そういう時代じゃないし。静かに隅っこにいるべきよね、いいもんいいもん、私別に平気)、
って、普段はこのカッコ内が前に出ているのですが、昨日は、カッコ内が宇宙の彼方に吸い込まれた感じでした。

そして、ふと思ったのは、こんなコッパズカシク、かつ尊大な希望って、もしかしたら殆どの人が持っているんじゃないかなって。この希望が実現できる社会、町、ご近所があったらいいな、って。

昨日のPot Luckでそんなことを考えたのです。


わが同志らよ!
Pot luckのあとは、さらに珍しい社会参加体験、デモ行進に参加してきました!
その名も、「Manif pour tous (みんなのマニフェステーション)、現政権の家族の概念崩壊的政策への抗議です。

同性愛者が養子縁組出来るように法律化した、その続きとして、今は彼らが代理母などを使っての人工的な生殖を許す動きがあり、そして、ジェンダー教育問題、中絶規制がさらに緩和された、とか、ま、要はオランド反対デモです。

静かな夫が珍しく、このデモの動きを熱心に追っているので、家族としてパパを支えるしかない、という2次的なデドコロから応援しています。

それに、事実婚していたオランドが、女優との密会が暴露され、事実婚が破局となったことを会見で発表する際、「J'ai mis fin à ma vie commune avec Valérie Trierweiler」、私はこの関係にピリオドを打った」といったそうです。
あのさー、ファーストレディ扱いまでしてた相手だったらさ、せめてJe(私)ではなく、「Nous(私たち)は関係を解消することに決めました」とか言えんかね。デリカシーゼロ。

でもね、なんだかんだいって、Bobo(ちょっと左、中流階級)の街、パリだし、多数決で選ばれた現政権だし、私みたいに変なの、変なの、って思っている方が少数派かな、と思っていたのです。私の方が奇異みたいな。
ところが、昨日のマニフには、私みたいなフツーのオバサンがいっぱいいて、買い物袋を持っているのが似合うような主婦、会社員みたいな人が、怒りというよりは、「ねぇねぇ、何ナノ今の政権」という疑問いっぱいの表情でぞろぞろ歩いていました。よくある構図のような「興奮した民!」ではないのですよ。

そこにすごーく親近感を感じて、「ああ、独りじゃないんだ」と実感。この連帯感はちょっといいもんですよ。

日本にいたときは投票すらマジメにやっていなかった私ですが、なんだろなんだろ、やっぱり社会に参画するのって正しいんだな、そして正しいことすると気持ちがいいんだな、と思ったのですよ。

気持ちはよかったのですが、体力が……家に着いた後はバタンQでした。

さて暖冬雨降りのパリも、昨日今日は真っ青な空が広がっていました。
ガリガリのおばあさんみたいに枯れきってたテッセンの枝より新芽がグングン伸びています。
どのような2月になるのでしょう。花冷えとか、あるのかな、ないといいな。

皆様、どうぞ良い一週間をお過ごしくださいね♪