2013年8月28日水曜日

「バカンスはつらいよ」


一昨日、サルト地方よりパリに戻って参りました。

子猿たちにとっては3週間ぶりのパリ。
私はといえば、木曜日以来、ロング・ウィークエンドに毛がはえたようなものなのに、何だか1か月ぶりくらいに感じられるホームスィートホームです。

だってだって、ですよ。もう見事に振り回された週末だったのですょ。

結婚式に出席するため、金土日と留守にした義理の両親は、「夕方に戻る」といいながら、昼ごはんの時に帰ってきたり、「お茶の時間に来る」と言っていた義理の妹家族は夜到着。来るか来ないか返事をくれなかったもう一人の義理の妹は結局来ず……。

義理家族の「気まぐれ」は毎度ですので、母猿、全天候(?)に対応すべく、金曜日から料理料理に明け暮れました。もし全員そろえば16人ですからね。4人分作るのに慣れている私としては、4倍です。
食材は義母の菜園(ポタジェ)より。ジャガイモのホクホクなこと!
玉ねぎの甘いこと!
でも、こういう週末も、覚悟を決めてかかると、結構楽しかったりする。
母猿も気分だけは鉄人と化し、エプロン付けて、「Allez, cuisine!」です。
悪天候で例年より不作なトマトたち
まず、茶菓子用に、Quatre Quarts、パウンドケーキを焼きました。
両端のはラズベリーを混ぜてみました。
デザート、義母はクラフティと呼ばれるカスタードの焼き菓子を所望してましたが、レシピを見ると、1人分あたり玉子1つが必要=玉子16個。
この家にはニワトリが3羽いるけれど、
ガンバレ!
さすがに16個は無理です。
そこで玉子いらずのクランブルを作ることにしました。
落ち林檎、落ち梨、ラズベリー、イチジクを入れました。
これがタピオカを振り掛けた状態
クランブルって、あのバタタップリのサクサクしているビスケット風の部分が好きだけど、果物とクランブルの境が果汁が染みてグチョッとなる、あれがイヤだったりませんか? 
先日お邪魔したマリアンヌの家で素晴らしいコツを教えてもらいました。まず、果物は火を通して水分を少し煮詰めておく。粗熱が取れたら、タピオカをサラサラっと振り掛け、その上にクランブルをタップリ乗せて焼くのです。こうすることで、余分な水分をタピオカが吸ってくれるので、クランブルはサクサクと香ばしく焼きあがります。


メインはラザニアにしました。
今回は、ミートソースを作るのではなく、お肉はガーリックと玉ねぎ少しと一緒にお肉で炒め、玉ねぎはバターで炒め、仕上げに茶砂糖を少し加えてキャラメリゼさせ、トマトは湯剥きしてスライス、ズッキーニは薄切りにして湯通しします。これとラザニアのパスタ、ベシャメルソースとを適当に重ねるやり方にしてみました。すると、いつもと材料自体は変わらないのに、この方がそれぞれの素材の味が生き、野菜のフレッシュさも残って美味しく感じました。
この大きなのを2つ作りました。
毎度のコツは長く焼くこと。最低1時間天火にいれておくと、全体がとろーっとしてオイシイ。
クランブルもラザニアも、焼きあがったときの写真がなくてスミマセン。
その頃は、義母が、義理の妹が、そして子猿たち、甥っ子たち(男子5人!)が、熱いオーブンの周りでワーワー言っていて、写真どころではありませんでした。 

その他、ベトラブと呼ばれる、赤カブ?のサラダも。
黒カブ? ポタジェの野菜は色も濃く、味も濃い。
ベトラブは串がスーッと通るほど柔らかくゆでて冷やし……
……こんな風に適当に切って、お酢とオリーブ油、塩コショウで味付けします。
フランスでは、浅葱を刻んだのをトッピングすること多し。
ビックリするほど甘くって、それがビネグレットとよく合うサラダです。
改めてみると、そんなにたくさん料理していないのですね。
自分の家族や友達と一緒の食事の方が、もっと品数はあるかも……。

フランスの家庭での食事って、ちょっとした前菜(この日は↑のベトラブのサラダとサルト地方名物の豚のリエット(お肉屋さんで買ったもの)です)、メイン、デザートさえあれば、あとは、レタスだけのサラダ、チーズとパン、果物、そしてワインを間にはめ込むので、気付くと立派なフルコースになっている。そして各「コース」にて色々なものを適量食べているので、胃も持たれないし、実に合理的かつ健康的、その上様式としても美しい食事なんですよね。



そんなこんなで無事任務を果たした母猿。

間々には、毎度毎度テンパっている義母からの余計なひと言、二言があり、
一方、年々気難しくなる義父の、防犯システムの赤外線がごとくあちこちに張られている琴線に触れないように、他人の私は気をつけているっていうのに、
大胆不敵に突き進む義妹と義理両親の摩擦。
発火しそうになるたびに、水を撒いて「事なかれ」をのぞんでしまう大和ダマシイ。
母猿、柄にもなく胃がキリキリ……。

……3日が限界です、こういうの。
とにもかくにも、誰に何と言われようと、夏休みはこれにてオシマイ!

「バカンスはつらいよ」の巻でした♪


2013年8月20日火曜日

心びんぼう




残暑お見舞い申し上げます。
月曜に、バカンスよりこっそりとパリに戻ってきました。
子猿たちは、海辺の家で夫側のおじいちゃん、おばあちゃんと、バカンスの最後の一しずくまでをぎゅっぎゅっと絞って味わっていることでしょう。

フランスのバカンスは、日本で言うところの盆休みと同じで、家族がみんな集まる機会です。
短気、我がままな母猿、毎回、むっか~!と来ることがあったりで、精神的によくないこと多し。


すみません、宣伝を挿入させてください。
伯爵夫人、第2回は「バカンスの掟」というタイトルで
ニュースダイジェストにアップされています。
宜しければ訪れて下さいまし。
そこで毎回「むっか~回避策」を練りだしているのです。
今年は、義理家族とのまったり期間の真ん中に、お友達のお宅にて小休止をさせて頂くことにしました。一回ブレークを入れるというわけです。

ディナーなどで伺ったことがあるこの友達の別荘、今回初めて滞在させていただきました。改めて見せて頂くと、別荘の敷地の広さ、美しさ、プールもあり、メゾン・ダミ(友達用のコテージ)などもありで、なんとまぁ、豊かなこと。
いやはや、フランスの富裕層、奥深しです。

でも、それ以上に私の心を圧倒したのは、彼女らの心の温かさ。
私のために、子猿たちのために居心地よくしてくださろうという心遣いがそこら中に散らばっているのです。
「日本にまた行きたい。日本大好き」と日本文化をいっぱい褒めてくれます。
「君は僕の姪こだと思っている」と旦那様。
子猿たちが慣れてきて野生化していても、一緒に遊んでくださり、私に、「いいのいいの、私たちの前で自然体でいてくれることが嬉しいんだから」なんて。
とにかく子猿たちと私を喜ばそう、と計画をたて奮闘してくださるのです。
その思いやりに、胸に熱くなりました。

フランスのバカンスだけではありません。日本で過ごした7月も、そんな再会ばかりでした。
思いやり、優しさ、労わりの気持ちなどを恵みの雨のごとく、降り注いでくださる旧友、親戚、お世話になっている方々……。
みんな普段の生活でパンパンに忙しいだろうに、時間を作ってくださってね。

こういう無条件に優しい心に触れるたび、気付くのは、自分の心の貧しさです。
会いたい気持ちがあっても、喜ばしたい気持ちはあっても、身体が付いていかない、なんて年寄り臭い言い訳しちゃったり。
日本では80歳になられる先生が「雨降ってるから」って、それこそ雨が降ってる中、私たち母子のために走ってタクシーを止めてくださったことを思えば、こんな言い訳成り立たないのにさ。

いつも自分を優先して計算している自分が情けない。



心の豊かさって、どうやったら増やせるのかしら。
私も人の胸に愛情の雨を惜しみなく、ざあざあ降らせたいんだけど。
高一の頃からバイトバイトってやってきて、未だに時給規模でしか、カネ勘定ができないのですが、心まで時給規模なような気がします。

あ~ぁ!
……なんて、絶望してたら、バルコニーに季節外れのテッセンの花が咲いているではありませんか。5月あたりに咲いて散ったはずなのに。今年のフランスは気まぐれも度を超した気候です。
でもこれは、天からのメッセージ?
枯れ木にも花が咲く。
貧しい心にも、優しい気持ちが花開く日があるかもしれない?

どれどれ、写真撮ろう。
と思ったら花びらがはらはらと落ちちゃった……。


代わりに、不在にもかかわらず一輪だけ花開いているバラを載せましょう。



さて来週は、子猿の宿題ウィーク。
兄猿がカツオに、母猿は波平に変身する時です。

皆様も、どうぞ素敵な8月の終わりをお過ごしください♪

2013年8月6日火曜日

夏休み、フランス編


パリから250キロほど西に向かった、サルト地方に来ております。

いつものように、義理の両親の別荘に滞在させていただいているのです。当のご両人は、まだ到着されておらず、夫もパリでの仕事が立て込んでいるので、週日は私と子猿たちだけ。


閑散としているポタジェ
この季節、義母の作る美しい菜園、ポタジェで、たわわになる果物たちや、これでもか、これでもか、と、いくら採っても採り足りない夏野菜たちを楽しみにお邪魔しているのですが、今年は悪天候が響いて全然ダメ。
雑草だけははびこっているので
みんなで草むしり
パリでも、今の季節激安のはずのネクタリン、プラム類も、キロあたり3ユーロ越えと、例年より1ユーロ高かったし、レタス類も、夏は2玉1ユーロとかなのに、今年は1玉1ユーロ以上と値付けされていましたものね。
不景気のときに限って、天候不順というのは昔の話だと思っていけれど。
いい話がない最近のフランスです。


それでも新じゃが、甘くておいしい!
子供だけとの田舎暮らしは、まるで絵本の「ぐりとぐら」のページを繰っているみたいです。
庭の大きな木の下で、小さい二人が、小さいお皿のご飯を食べながら、小さい世界の話をしている。
二人がみているのは、かごに入れた蜂!「チャーハン好きかな」「……。」
夜は、私のベッドで寝たい、というので一緒に寝ましたが、もう今年が限界ですね。
兄猿、いつの間にか大きくなってて、場所を取ること! 寝顔も、ちょっと前まではプクプク赤ちゃんの名残があったのに、もうすっかりゴツゴツとした少年顔です。
ぐりとぐらも今年までです、きっと。


軍手と帽子と水は草むしりには必需品
静かで、ゆったりとした時間。
パリでは、夫は過労気味なのに夜遅くまで働き、日本では今日は広島に原爆が落とされた日。この夏は洪水あり、雷雨あり、猛暑ありですよね。フランスは失業率が軒並み高く、それでもごぞってバカンスに出かけるパリでは今頃どこかの家に空き巣が入っているかと思うと、申し訳ない感じです。

待てぇ!
……なんて、トランザットでだらだらと寝そべりながら、無意味な後ろめたさを感じていたら、草むしり脱走兵が!

まぁいいか。私も昼寝しちゃおうっと。